掌編@



 深夜という時間帯をずいぶん経過し、すでにうっすらと空が白み始めた頃。
 特に何を感じたわけでもないいのに目が覚めた。

 隣を見ると、ふんわりとやわらかく波打つ色素の薄い
 それらに縁取られる小さな顔は、穏やかな夢を見ているようにあどけない。
 普段は毛を逆立てた野良猫のような朝来だが、寝ているときの態度は正反対だということを知っているのは宗像だけだ。おそらく朝来自身も知らないだろう。

 宗像の鍛え上げた右腕に、しがみつくようにして丸くなっている。
 その腕を、故意にずらして朝来の腕から引き抜こうとすると・・・・・・。

「んっ!」

 というかわいらしい声ともに隙間なくすり寄ってくるのだ。
 眠る朝来の甘えた動きを知ったのは今日のようにたまたま深夜目を覚ましたときだったが、それ以来意識のない朝来をおちょくる(宗像曰く”可愛がる”)のが彼のひそかな楽しみだったりする。

 宗像にいつのまにかそんな楽しみを与えているとは露とも知らぬ朝来は、今日も安眠をむさぼっている。

 宗像は右腕に絡まる朝来の両腕はそのままに、左腕で横向きの朝来の太ももあたりをぽんぽんと叩いてみた。
 それに反応したように、朝来が身じろぎする。
 もう一度軽く叩くと、今度は朝来が自ら脚を絡めてきた。

 宗像が目を細める。

 その後も、安心しきった朝来の頬やら太ももやらを撫でまわし、髪を梳きながら口づけしたりとやりたい放題なのもいつものこと。
 最初のころはどのくらいで起きるのかを試そうとしたのだが、結局、何をしても起きないことが判ってからはほとんど遠慮をしなくなった宗像だった。

 今夜もむずがらせたり、色っぽい声を上げさせたり、悩ましい吐息を吐かせたりしてそれなりに満足した宗像は、今度は逆に朝来を抱き枕にして再び瞼を閉じた。
 がっちりとホールドされた朝来が朝目を覚まして文句を言うのを聞きながら、寝ているときとのギャップに内心面白がっていることは秘密である。






以前ブログに載せてたものを転載。

・・・ちょっとムッツリっぽくなっちまったぜぃ。
まあ、多かれ少なかれ彼にもそういう部分があるんではないかと。
普段は朝来が軽く引くくらいオープンにセクハラしますけどね。



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