拍手御礼企画
殺生坊主とネコ娘 【序】
――昼夜の別が今ほど曖昧でなかった時代のとあるお話。
光は闇を暴ききれず、闇は光を覆い尽くせず。
夜は人の世界に非ず、闇は人に馴れ合わず。
太陽の下を歩く「人間」と、闇にうごめく「妖怪」と。
決して相容れぬ異なる種族はしかし、同じ土地に共存し、暗黙のうちにその存在を認め合ってきた。
――さて。
ある町で、人の精気を奪う妖怪が現れたという噂が広まった。
その女は、艶かしい二つの漆黒の宝玉を妖しく煌かせ、着崩した着物の胸元から雪のように白い肌を惜しげもなく露わにして男を誘うという。水草のようにゆらめく髪を背に流し、血のように赤い唇の端を持ち上げて艶然と微笑む女の虜になった男は杳として行方が知れず。
しかし人にあらざるものに対して只人はどうすることもできない。
けれど、何事にも例外は付きもの。
昼の世界の住人でありながら、闇のモノたちと渡り合える者もいる。
力ある者。
ここに、当代一と誉れも高い比類なき法力を有した僧侶が一人。
俗名を嵬、戒名を宗像という。
これは同じ時代、同じ処で偶然出会った、僧と妖の戦いの物語である―――。
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いつも拍手ありがとうございます!
ということで、突然ですが拍手御礼企画です!
猫耳な朝来さんと坊主な宗像氏(でも髪はあります)のコメディです。
拍手に掲載していた古いものを随時こちらに再掲していきます。